ヴェネツィア・カフォスカリ大学における日本語教育は1873年に始まり、現在では1000人以上(学部・修士)の学生が在籍する。本発表では、同大学の日本語教育カリキュラムおよび多様な日本語教育実践のあり方を紹介する。マリオッティは NoLBrick(No-Level Brick Foreign Language Education)研究プロジェクトを立ち上げ、レベルや学年の概念に捉われない言語教育を実践してきた。そこには教師に導かれてではなく、学生自身が考え、自分の日本語を模索する姿がある。パンデミック中に企画した学内プロジェクトや、未来の日本語教育者・研究者育成の取り組みにも触れながら、社会とつながる日本語教育実践の展望を述べる。
【講師略歴】
マルチェッラ・マリオッティ先生(Marcella MARIOTTI)
ヴェネツィア・カフォスカリ大学アジア・北アフリカ研究学部准教授。元ヨーロッパ日本語教師協会(AJE)会長。2019年外務大臣表彰受賞。主な研究分野は日本語批判的教育学、eラーニング、エージェンシー。
著書に La lingua giapponese(「日本語」), Carocci 2014.『市民性形成とことばの教育―母語・第二言語・外国語を超えて』(くろしお出版2016)、『「「活動型」日本語クラスの実践—教える・教わる関係からの解放—』(スリーエーネットワーク2022)等、多数。
西田翔子先生
ヴェネツィア・カフォスカリ大学日本語講師。日本企業に12年間勤務の後、ヴェネツィア・カフォスカリ大学比較言語文化学部にて修士号取得(言語教育)。2019年より現職。主に、ビジネス日本語、ライティング教育に力を入れている。