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Last updated on May 12, 2018
 

2017年度 共催講演会

2017年度
青山学院英語教育研究センター・JACET関東支部
共催講演会(第1回)
英語教育研究における混合研究法の可能性
講演者 : 抱井 尚子(青山学院大学)
日 時 : 2017年4月8日 (土) 16:00-17:30
場 所 : 青山学院大学 総研ビル(14号館) 9階 第16会議室
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「講演概要」と講演時の「講演者略歴」

【講演概要】
混合研究法(mixed methods research)は、単一の調査プロジェクトにおいて量的・質的研究の両方を使用する、比較的新しい研究アプローチである。1990年以降に急速にその体系化が進んだ本研究アプローチの起源は教育評価研究にあるが、現在ではさまざまな分野において使用されている。また、一言で混合研究法と言っても、個々の研究者が有する認識論的スタンスには幅があり、混合研究法に対する理解や実践のあり方も多様であるといえる。いまだ発展途上にある混合研究法は、流動的な部分が多いのも事実である。以上を踏まえた上で、本講演では、混合研究法コミュニティにおいて共有される、本アプローチに関する基本的な重要ポイントを整理し解説する。その上で、英語教育研究における混合研究法の可能性についても検討する。

【講演者略歴】
抱井 尚子 (青山学院大学)
青山学院大学国際政治経済学部国際コミュニケーション学科・教授。日本混合研究法学会・現理事長(2015年4月~)。2007年の創刊以来、Journal of Mixed Methods Researchの編集査読委員を務める。研究法関連書籍に、単著書として『混合研究法入門-質と量による統合のアート』(東京:医学書院, 2015)、共編著書として『コミュニケーション研究法』(京都:ナカニシヤ書店, 2011)、『混合研究法への誘い─質的・量的研究を統合する新しい実践研究アプローチ』(東京:遠見書房)、そして共訳書としてキャシー・シャーマズによるConstructing Grounded Theory (Sage出版)(『グラウンデッド・セオリーの構築』、京都:ナカニシヤ書店, 2008)がある。


2017年度
青山学院英語教育研究センター・JACET関東支部
共催講演会(第2回)
英語を媒介言語とした大学授業の課題と展望
講演者 : 菊池 尚代(青山学院大学)
日 時 : 2017年9月9日 (土) 16:00-17:30
場 所 : 青山学院大学 11号館 4階 1143教室
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「講演概要」と講演時の「講演者略歴」

【講演概要】
英語の国際共通語化が進むにつれ、英語を媒体言語 (ML)とした授業を提供する大学、大学院が世界的に増加している。しかし、小・中・高とは異なり、その教育方法は明確に規定されておらず、また様々な呼称(EMI,ETPなど)も存在している。それぞれの呼称にはある一定の定義があるものの、世界的に統一されているとは言い難い。さらに英語言語媒体授業には授業内容の理解不足が全体の学力低下を招きかねないなどとする否定的な研究結果も報告されており、慎重な授業運営が求められている。日本においても、日本語で運営されている従来の授業から英語言語媒体授業への移行が、近年、大学、大学院で多く行われてきており、日本語を一切使用せず、英語言語媒体授業の履修のみで卒業が可能な大学や学部、また海外の大学とのダブル学位などにも注目が集まっている。この背景には日本への留学生数増加への期待や、学生の留学への動機づけ、さらに世界的水準を勘案した日本の高等教育全体の質向上などの思惑が込められているが、こうした期待や目的が英語媒体授業を運営する具体的な教育方法の構築より先行している現状が否めない。さらに、小学校の英語授業開始や国際バカロレア認定校、大学入学前の海外修学経験者の増加、またその修学先が多種多様であるなど、大学入学時の英語力の差違は拡大傾向にあり、英語媒体授業の教育方法の構築は難境に陥っていると言わざるを得ない。本講演では、講演者が自ら出向いた、国内外の英語を媒体言語とした大学授業調査を通して、直面している現状を整理し、日本のようなEFL環境の大学ではどのような授業デザインが考案できるか 留意すべき事項をあげながら提案してみたい。

【講演者略歴】
菊池 尚代
青山学院大学地球社会共生学部准教授。國學院大学文学部国文科、青山学院大学文学部英米文学科、テンプル大学大学院教育学研究科英語教授法修士課程修了。中学、高校の英語、国語の教員免許状取得。ニッポン放送編成局制作部、中学・高校の教員、大学院のプログラムコーディネータなどの勤務を経て、現職。


2017年度
青山学院英語教育研究センター・JACET関東支部
共催講演会(第3回)
英語教員の養成・研修コア・カリキュラムの開発:目標と課題
講演者 : 馬場 哲生(東京学芸大学)
日 時 : 2017年10月14日 (土) 16:00-17:30
場 所 : 青山学院大学 17号館 4階 17401教室
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「講演概要」と講演時の「講演者略歴」

【講演概要】
東京学芸大学は、2015年度と2016年度に「英語教員の英語力・指導力強化のための調査研究事業」を文部科学省から受託し、英語教育専門の大学教員、小学校教員及び中・高等学校英語教員、教育委員会指導主事等を事業メンバーに加え、英語教員の養成と研修のコア・カリキュラムの開発を行った。2015年度にはコア・カリキュラムの試案を作成し、2016年度には試案の検証・改善を行い、(1)小学校教員養成、(2)中・高等学校教員養成、(3)小学校教員研修、(4)中・高等学校教員研修、のコア・カリキュラムの本案を示した。本講演においては、昨今の英語教育改革の流れを概観しつつ、コア・カリキュラムとその背景にある考え方を示し、その活用上の展望や課題について検討する。

【講演者略歴】
馬場 哲生
東京学芸大学 教授。東京学芸大学大学院 英語教育専攻修了。1998年より東京学芸大学で教育・研究活動を行っている。専門は英語教育学。主な著書に、『教科教育学シリーズ⑨ 英語科教育』(編著、一藝社)、『英語授業ハンドブック<中学校編>』(共編著、大修館)、『総合英語 One』(監修・分担執筆、アルク),『英語スピーキング論』(編著、河源社) などがある。1987年より文部科学省検定教科書『TOTAL ENGLISH』(学校図書) の編集委員を務めている。「英語教員の英語力・指導力強化のための調査研究事業」においては、中・高等学校の教員養成・研修コア・カリキュラム開発の統括を務めた。


2017年度
青山学院英語教育研究センター・JACET関東支部
共催講演会(第4回)
自己表現力育成のための英語ライティング指導:
英語俳句を用いての実証研究
講演者 : 飯田 敦史(群馬大学)
日 時 : 2017年12月9日 (土) 16:00-17:30
場 所 : 青山学院大学 14号館(総研ビル) 9階 第16会議室
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「講演概要」と講演時の「講演者略歴」

【講演概要】
進展するグローバル社会の中では、自分の考えや意見を書くことが今まで以上に求められるようになり、英語ライティング教育の重要性が増している。こうした状況の中で、英語教育で早急に取り組まなければならない課題が「自己表現力」の育成である。本講演では、日本における英語ライティング教育の問題点に触れながら、自己表現力育成を目指した英語ライティング指導法を検討する。特に、日本人に馴染みのある俳句に着目し、これまでの実証研究を踏まえ、英語で俳句を作成することの教育効果を検証していく。

【講演者略歴】
飯田敦史(群馬大学 准教授)
青山学院大学文学部英米文学科卒業後、ペンシルベニア州立インディアナ大学 (Indiana University of Pennsylvania) にて修士号 (TESOL)、博士号 (Composition & TESOL) を取得。専門は、英語教育学、第二言語ライティング。主な著書に Professionalizing Second Language Writing (分担執筆)、Asian English Language Classrooms (分担執筆)、Graduate Study in the USA (分担執筆) などがある。また、Assessing Writing, System, Qualitative Inquiry, Scientific Study of Literature などの国際学術雑誌より論文を出版。


2017年度
青山学院英語教育研究センター・JACET関東支部
共催講演会(第5回)
コンテクストがもたらす
異文化的状況から見る異文化コミュニケーション
講演者 : 山本 志都(東海大学)
日 時 : 2018年1月20日 (土) 16:00-17:30
場 所 : 青山学院大学 14号館(総研ビル) 9階 第19会議室
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「講演概要」と講演時の「講演者略歴」

【講演概要】
異文化コミュニケーションを学ぶとき、当初学生の考える異文化は外国であることが多いが、人種、民族、宗教、世代、ジェンダーなど、異なる社会的集団間に適用されることをしだいに理解していく。本発表ではさらに、集団レベルからコンテクストへと視点を移すことによって、異文化コミュニケーションをより幅広く活用することを考える。状況論的アプローチから二者間の相互作用に近接してみると、コミュニケーションが行われている最中のコンテクストが変化するにしたがって、両者の持つバックグラウンドのどの部分が差異性として前面にあらわれるかが変化していく。コンテクストが異文化的状況をもたらすことに注目することで、異文化コミュニケーションの知見を意識的に適用できる場面が増え、差異性に目を向けると同時に共通性を感じ取る柔軟性も養えることについて考えたい。

【講演者略歴】
山本 志都
東海大学文学部英語文化コミュニケーション学科教授。Portland State University にて修士号(Speech Communication)、上智大学にて博士号(教育学)を取得。専門は異文化コミュニケーション、異文化間教育。主な著書に『異文化間協働におけるコミュニケーション:相互作用の学習体験化および組織と個人の影響の実証的研究』(2011年, ナカニシヤ出版)、『異文化コミュニケーション・ワークブック』(2001年, 三修社)がある。